転がれ! わがからだ!
「さあ、こんどは一列横隊だ。いい? 一、二、三!」
 砂を飛ばしてころがるとき、陽子の胸を若々しい歓ばしさと一緒に小さい鋭い悲しさが貫くのであった。転がれ、転がれ、わがからだ! 夫のいない世界まで。悲しみのない処まで!
「ウワーイ!」
 犬ころのように、陽子は悌と並んだり、篤介とぶつかったりしながら、小さい悲しみの花火をあげつつ幾度も幾度も春の砂丘を転がり落ちた。



底本:「宮本百合子全集 第三巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
親本:「宮本百合子全集 第三巻」河出書房
   1952(昭和27)年2月発行
初出:「週刊朝日」
   1927(昭和2)年6月15日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2002年9月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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