言をしている。ヨーロッパ、アメリカの政治家たちは、「反共戦線」の培養がどんな流血と犠牲と破壊とをよびおこすものであるかということについては、第二次世界大戦で、タンノウするまで学びつくしているのである。ジュール・ロマンの『ヨーロッパの七つの謎』一冊よめば、それはわかりすぎるほどよくわかる。
自由党その他反動政党が、幣原内閣と連結して、天皇に拒否権を与えたとき、それがどう発動するかは天日のように明かである。議会は、そして全日本は、再び黒雲に閉されるのである。供出に対する強権発動によって、地方では首を吊る者が出ている。米がなければ身ぐるみ剥ぐといわれ、それが行われている。「勅令」によってこのことが行われているのである。
主権在民の憲法が、偽りなく主権を人民の上に保証するものでなくては日本は立ちゆかないのである。
底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社
1980(昭和55)年6月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
初出:同上
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月14日作成
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