婦人民主クラブ趣意書
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
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(例)軍事[#「軍事」に「ママ」の注記]
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これまで、私たち日本の女性は、何と散り散り、ばらばらな暮しかたをして来たことでしょう。戦争の間、官製の婦人団体は、戦争目的を遂げるために、つよい力を発揮してあらゆる婦人を各方面へ動員しました。
農村で、工場で、婦人は男子に優るとも劣らぬ国の力で女子として、わが身を尽して働かされました。けれども、その動力となって軍事目的に協力したこれらの婦人団体は、終戦後の今日、破壊された食糧事情、混乱している経済事情によって日本の婦人が日夜名状しがたい困難を負うているに当って、どのような実際の助力を計画しているでしょうか。
戦時中婦人を駆りたてて戦力の一部としたすべての婦人団体は、最もその責任を明らかにしなければならない今、尨大な数に達する婦人の離職者、寡婦、戦災孤児などの不幸な生存の危機を救う、どんな誠意も実力も喪っております。新聞は、大都市における婦女子の犯罪が日ましに増大しつつあることを警告しています。
私
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