婦人読者よ通信員になれ
――メーデーきたる――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)婦人通信員のねうち[#「ねうち」に傍点]と力はあるのです。
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 文学新聞には現在二百六七十人ばかりの通信員がいます。そのうち婦人の通信員は九人です。みなさん、これは実に少いと思いませんか。
 日本にはおよそ九十万人の工場に働いている婦人がいます。工場での首キリ反対、賃下げ反対に立ってストライキした婦人労働者は五万人もいるし、農村で地主との闘いに勇ましく闘う婦人の数も決してわずかではない。そういうプロレタリア、農民の婦人たちの生活はプロレタリア、農民の婦人のペンによってこそ最もよく伝えられるはずなのです。

 私がソヴェト同盟にいた時分のこと、ある日「赤い糸」という紡績工場を見学に行って、元気な女工さんたちとしゃべっていたら、二十ばかりの一人の女工さんが、鉛筆と手帖をもって大いそぎでやって来て、「私はここにいる婦人通信員です。日本の女のひとが工場へ来たのは珍らしいから、それを書きたいと思います」というのです。ソヴェト同
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