亦衰滅乃至堕落の道を辿ります。今日のブルジョア文学が段々貧弱になって行くのもそれで、谷崎潤一郎、佐藤春夫などの大家連が滔々として復古主義に赴くのも、没落せんとする者の逃避に他なりません。
 そして、一方新しい文学の光は新興プロレタリアートの陣営に輝きそめています。
 ソヴェト・ロシアでは、プロレタリア革命の後、最も早く文学活動に乗り出して来たのは小学校教員でした。彼女等は下層インテリゲンチャで、新しい社会生活に対して闘争する勤労階級と日常接近する地位にあり、新しい社会への移行の時期に、どこでもソヴェトのために役員となったりして働いた。従って新しい社会を描くことも早かったのです。
 革命前に於けるロシアの一般勤労婦人の状態は、目下の日本同然ひどいものでしたが、ソヴェト政府が樹立されてから、先ず生産において地位が向上し、徹底的に文盲撲滅運動がやられたので、間もなく、プロレタリア婦人の中からも続々と通信員が出、文学活動に進出する者が出て居ります。彼女等は労働の傍ら詩を作り、自分の言いたいところを憚るところなく言うのです。
 革命前の女流文士はどうなったかと申しますと、之も新しい社会と共に進ま
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