りもエロとナンセンスを要求します。彼女等はエロやナンセンスを書くことを悲しいと思う。然し書かねば喰えないから仕方なく書く。真面目な作家はそれを煩悶するとしても、然し積極的にそう云う不健全な社会を改革しようなどと云う熱情は、その階級性によって多く持っていないから、いたずらに感傷主義に浸るだけで、彼女等には正しい生活を建設しようとする気魄に欠けています。芸術作品は単に作品だけが独立して生れるものではない、生活が作品を作るのですから、感傷的逃避的な生活から、立派な作品が生れる筈はありません。
 それならばプロレタリア作家の方はどうか。これは極めて興味ある問題です。女流作家「不振」を叫ぶ批評家達はプロレタリアートの未来を信じません。成程、現在のプロレタリア婦人の文化水準は低い、今直ぐにはいい作品は書けないでしょう。然し現在各地の農村工場から送られて来る通信員の報告又は投書などには、その質において百の大田洋子が寄っても書けないいいものがあります。
 文学の隆盛は階級の隆盛と密接に結びついています。一定の階級が勃興期にある時はその階級の文学も隆興し、その階級が没落期にある時はその階級に属する文学も
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