遠くない。あらゆる人民の人間性を発揮させる新しい民主主義文学の中核も、ここにある。日本が民主主義の社会になってゆく可能は、勤労階級とその協力者が保守陣営に対して不屈な民主的たたかいを貫徹して、はじめて実現される。勤労婦人の中から、彼女たちの文学が創り出されて来るとき、近代日本の婦人作家の苦難にみちた歴史は、真に発展した本質によってその新しい頁の上に立つようになる。プロレタリア文学運動が、婦人と文学との課題を、旧い男女対立の範囲から解放して、よりひろい社会的な新生活建設の課題として理解させた。その伝統をうけついで、よりひろやかに美しく開花させた日本文学の新しいゆたかさとしてあらわれ得るのである。[#地付き](一九四七年二月五日)



底本:「宮本百合子全集 第十二巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年4月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
親本:「宮本百合子全集 第八巻」河出書房
   1952(昭和27)年10月発行
初出
 藪の鶯(「『藪の鶯』このかた」):「改造」
   1939(昭和14)年7月号
 清風徐ろに吹来つて」(「人の姿」のうち):「中央公論」
   1939(昭和14)年5月号
 短い翼:「文芸」
   1939(昭和14)年8月号
 入り乱れた羽搏き:「文芸」
   1939(昭和14)年9月号
 分流:「文芸」
   1939(昭和14)年10月号
 この岸辺には:「文芸」
   1939(昭和14)年11月号
 ひろい飛沫:「文芸」
   1940(昭和15)年2月号
 合わせ鏡(「あわせ鏡」):「文芸」
   1940(昭和15)年4月号
 人間の像:「文芸」
   1940(昭和15)年8月号
 嵐の前(「しかし明日へ」):「文芸」
   1940(昭和15)年10月号
 明日へ:「婦人と文学――近代日本の婦人作家――」実業之日本社
   1947(昭和22)年10月発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:柴田卓治
校正:松永正敏
2003年2月13日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボラン
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