を、プロレタリア・農民の生活全体に関連する事実として、描写しなければならないのだ。
男の作家が書くばかりでなく、婦人のプロレタリア作家がもっともっと多勢出て来て、独特の実感で、日夜闘う婦人大衆の経験の隅から隅までを活々と書かねばならないのだ。
日本プロレタリア作家同盟の婦人委員会は、婦人をこめてプロレタリア作家が、どんな風に作品活動をして行くべきかを研究すると同時に、婦人を主とする文学サークル発展のため、婦人通信員養成、婦人作家獲得のため益々積極的な活動を開始している。われわれは一人でも多く職場大衆の中から婦人サークル員を、婦人通信員を、婦人作家をもたねばならない。一人新しい婦人のプロレタリア農民作家、通信員の出ることは、われわれプロレタリアの文化が、それだけ支配階級に対して勝利した証拠なのだ。
今年の三月八日「国際婦人デー」は、支配階級のファッショ化と、侵略[#「侵略」に×傍点]戦争の真只中で闘われようとしている。『文学新聞』の婦人読者、サークル員、通信員のみなさん! みなさんはこの意味深い「婦人デー」の文化闘争としてどんな用意をしていますか? 世界のプロレタリア・農民の婦人が手をつなぎ、戦争絶対反[#「反」に×傍点]対! ファシズム絶対反対! ソヴェト同盟を守れと叫ぶ日だ。現実、戦争に夫や兄弟を奪われ、物価騰貴と失業に苦しめられているわれわれが手をつかねてはいられぬ。
満蒙事件がはじまって半年近くたつのだ、ほんとに婦人の立場から戦争反[#「反」に×傍点]対を叫ぶ小説、詩、通信で『文学新聞』を埋めよう! ファッショ化と闘うプロレタリア婦人の文化の砦として、サークルをどしどし拡げよう! 婦人通信員の倍加運動を、着々とやって行こう!『文学新聞』の婦人読者は、一人が二人を勧誘するのだ! だが云うまでもなくこういう仕事は、婦人だけにまかされた任務ではない。プロレタリア・農民なら男も熱心に参加し「国際婦人デー」の実践としなければならないのだ。何故なら、プロレタリア・農民の真の解放は、半数を占める女がおくれていたのでは物にならぬ。それはレーニンも云っている。プロレタリア文学はプロレタリアの階級的全生活の鏡だ。そこへ、いつまでもおくれたものとして女が現われていることは、決してあり得ないことなのだ。[#地付き]〔一九三二年二月〕
底本:「宮本百合子全集 第十巻」新日
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