のを考えて、いろいろの悲劇をもかえってひき起すような工合だが、今、二十前後の若い女は大へん違って友愛的な恋愛は沢山するだろうが、結婚などについては現実的に考えていて、若い男なんかより経済的安定のある中年の男を結婚の相手として選ぶ傾きにあるといっておられました。菊池さんはその今日の社会的傾向を肯定しておられます。そうして菊池さんの小説はその肯定の上に立って若い女その他を書いていると見られるのですが、面白いことには菊池さんは、芸術的把握の中でそのようにいっている菊池さんを、菊池さんの現実的な生活のさまざまの内容と思い合わせてニヤニヤと笑っている女のあることを見落しておられるし、また若い女の中にそういう若い女の考え方とは違った種類の若い女もいるということを逸しておられます。若い女ばかりでなく、若い男の人にとっても今日の社会の現実がそのようなものだという事実では苦しんでもいるし、疑問も持っているし、簡単に肯定はしていないと思いますネ。若い男にとって、少し気のきいた若い娘は自分と遊ぶだけでイザとなると金を持った薄禿のところへ行ってしまうというのだったら、こういう世の中はどういうものだろうと思わず
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