ジオの自由な発展とかいう表現に便乗して行われようとしているのである。
わたしたちは、なぜこのように執拗に、現代便乗図絵の詳細を追及しなければならないのだろうか。その答えはただ一つしかない。わたしたち人民は、人民生活をそのわだちにかけてころがってゆくどんな権力にも決して窮極的に便乗し得ることはないからである。人民が自身の力で国の独立と、生産や文化の確立をなしとげるために奮起しないかぎり、人民というものは搾取の対象でしかあり得ない。ほこりある日本の人民のするべきことは、便乗の可能のない人民である自分たちの立場にむしろ歓喜して、歴史のちりほこりにめげず、われら人民の世界に通じる道を着実にすすみゆくことである。
[#地付き]〔一九四八年九月〕
底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社
1980(昭和55)年6月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
1952(昭和27)年1月発行
初出:「光」
1948(昭和23)年9月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月14日作成
青空文庫
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