アカハタの読者から集めた批判の欄に、主観的な誇張のない記事をのせてくれという一項目がありました。このことは、日本の人民が三年間の闘いを通じて現実の複雑さに対してリアリスティックな成長を遂げてきたことの証拠です。職場の通信員であった人の中から、特に文学的表現にすぐれた人が生れて、それが作家となってゆくというような階級の歴史の健全さの中から民主的な勤労者作家の出現が期待されます。だから文学サークルが目下小説を書いている人たちだけの中心勢力で指導されていて他のより多くの人はいわゆる文学愛好家の水準にとどまって、心まかせの投書雑誌向きな詩や小品ばかりを書いているという状態は、できるだけ早く発展させられなければならないでしょう。わたしたちは誰も彼もが民主的政治家になるのではありませんし、組合の委員になるのでもありません。一人残らず共産党員になるわけでもありません。けれどもわたしたちは、人民の幸福を守る民主的政治家と政党とを選んでそれに投票します。わたしたちの人民的世論というものがそのように表現されて自然であるということが分っていれば、小説家にならないからといって、階級人としての現実観察とその評価
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