からスペインで開かれたが、この会議がヴァレンシアからマドリッドに移り、更にヴァレンシアとバルセロナへ移動して、最後はパリに移ったことは様々の点から意味ふかい関心をよびおこす。第二回のこの会議は、開催された場所が物語っているとおりスペインの文化擁護を議題としていたのであった。
 スペインにおける旧い支配者たちによって内乱が企てられたのは去年の七月であった。二年目の今日では、独伊両国の干渉戦と化し、本質的に最も深刻な歴史的衝突の姿を示していることは周知である。殆どすべての学者、芸術家がマドリッド政府の側に在り、有名なセロの名手、私たちに馴染ふかいパブロ・カザルスが全財産を寄附したり、画家ピカソがスペイン美術をファシストの砲火から守るためにマドリッドのプラド美術館館長に任命されたりしているということを、僅かに『セルパン』のニュースで知り得る。

 文化擁護の会議には各国からの代表者八十名(日本代表はいない)ルードウィヒ・レン、マルロオ、ミハイル・コリツォフ、アレクセイ・トルストイ、アンナ・ゼーゲルス、エレンブルグ、ファジェーエフその他。会議は二十八ヵ国の作家組織の代表百名からなる国際事務局を
前へ 次へ
全15ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング