つながれて動いてゆく、見えない仲間のカドリールがあるという陽気な気がした。
「ここは、まるでノアの箱舟ね」
 ひろ子が、笑って云った。
「何でも一応あるのね、あんなに大きい髯まであったわ。気がついたでしょう?」
「ほんと」
 眠って軟くまるまる純吉をゆりあげながら牧子も笑った。そして、二人は明るいとき通ったほこりの深いゴロタ石の道を駅に向った。先へゆく一団の中に懐中電燈をもっている人があって、その蒼い光の条《すじ》が、ときどき前方の木立の幹や草堤の一部をパッと照らし出した。

        六

 重吉の左脚の筋炎は、一週間ほどして段々納まりはじめた。日当りのいい八畳に臥ている重吉の湿布をとりかえながら、
「こんどの足いたは、可哀想だったけれど、わるいばかりでもなかったわねえ」
 ひろ子が、云った。
「こんなにして、昼間、しずかに臥ていらっしゃると、しんから休まるでしょう?」
「たしかに、そういうところはあるね」
「世話するものがついていて、すこし工合をわるくして臥ているというようなきもちなんか、あなたとしてこんどがはじめてなのねえ」
 そういうことのほかに、幾日も外出しないで重吉が
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