かという現実の風俗一端がうかがわれる。小説が大変に売れる。それだのに何故、その売れる作品の大部分に対して、芸術上、人間良心上の深い疑問が世人によって盛んに投げられているのが今日の風俗なのであろう。自身の風俗の支離滅裂さにおどろく現代風俗の感受性というものに、尽きない興味と教訓と成長の可能とを覚えているのは、あながち私一人ではあるまいと思う。[#地付き]〔一九三九年五月〕



底本:「宮本百合子全集 第十一巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年1月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
親本:「宮本百合子全集 第七巻」河出書房
   1951(昭和26)年7月発行
初出:「三田新聞」
   1939(昭和14)年5月25日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年2月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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