んなと同じに、簡単な好奇心だけであちこち見まわしているうちに、その一人が並べられている品ものを、段々仔細に注視しはじめた。何の部分品か分らない金具をとりあげてしばらく指の間でひねくりまわして調べてから頭をふって下へおいた。そこをはなれて、ひろ子が立っていた横を通りすぎながら、真摯なおどろきをあらわした低い声で、ひとこと、ひとこと明瞭につぶやいた。
「日本人は破産している」と。
偶然きいた外国人のその短い言葉は、ひろ子の耳の底へとおった。そして、心に止った。
一生懸命に体を平べったくし、翼をぱたぱたやってその水たまりで行水を使おうと骨折っている一羽の雀のもがきのようなものが、ここの家へついてからのひろ子の感情に生じた。直次という生活の中心を喪《うしな》った不幸は、ここの家の女ばかりの暮しから、その悲しみをたっぷり溢れさす気の張りをさえ失わせてしまっている。不幸とはそういうものだ。ひろ子は思った。ここで感情は破産させられている、と。
八
ひろ子が、初めてこの西国の村町に来たのは十二年前の一月初旬であった。正月の三ガ[#「ガ」は小書き]日がすぎるのを待ちかねて、ひろ
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