んだ」
 がっかりして云うものがある。
「何丁ぐらい歩くのかね」
「二三町です、橋が一つ落ちているだけなんですから」
 先の連絡におくれまいとして、旅客たちは我がちにいそいで歩きはじめた。小さいが、流れの急な川のところで、石橋が落ちていた。棒杙と、横板、俵などで、あぶなっかしく一時の足がかりが出来ている。一区ぎりずつ区切って、こちらからゆくものが渡り、あちらからの通行人がわたる仕組みにしてある。郵便配達が、赤塗の自転車をかついで、用心しながら、こちらへこして来た。ジープが二台むこう側に止って、車と車との間で声高に喋りながら、種々様々の風体をし、しかもどれ一つとしてまとまった服装をしているもののない日本人が、ありとあらゆる荷物をかついで、落ちた橋をぎごちなくわたって往復している光景を眺めている。
 次のトラック連絡は、やや混乱して、四人一列のところだの、三人一列のところだのが出来た。整理員が、ここでは不馴れなのであった。
 ひろ子は、踏台としておかれている空箱からトラックの床に片膝をつき、やっと這い上った。街道のこのあたりへかかると、ぽつぽつ遠い路を歩いて来たらしい人の群にすれちがいはじ
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