た。新しい道づれの持っていた大きいボール箱には、ひろ子の口に珍しい松茸がつまっていた。
「きょう中に大阪へつく予定だったんで、米をもっていません、すみませんが……あした何とかしますから……」
岡山から乗ったその男の松だけが、お菜になって出た。
膳が運ばれたとき、新しいつれは、
「どうです、一口」
そう云いながら立って床の間のスーツ・ケースをあけた。
「一口って――あるんですか」
支店長が、きらいでもなさそうに、そっちを見た。
「ありますとも。――私は、人の機嫌をとる商売でしてね」
アルコールの壜を出した。それを注いで水をわった。
「案外いいですよ、さっぱりして」
支店長は、うたがわしそうに小コップをとりあげ、日本酒ののみかたで、チビリと流し込んだ。
「何や……こう……えろうカーッとしますなあ」
「そうですか、馴れるといいもんだがな」
一方は、ブランデーをのむように、パッと口の中へあけるようにのんだ。
「――奥さんいかがです」
「私は無調法なんです、本当に駄目」
新しい道づれは、名を云えば大抵のものは知っているらしい大阪のキャバレーの持ち主であった。ひろ子は、文楽以外に大
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