るのはその橋で、鉄橋がここで落ちているのであった。
 やっと三原の町へ入った。どこもかしこも町のそとと同じように暗い。四辻で、つれが、雨傘からしずくを垂らしながら立ち止った。
「えらいすんませんが、右手に活動小屋が見えませんやろか」
「ああ、それらしいものがあります」
「白いような建物でしょうか」
 すかしてみて、ひろ子は、
「そうらしいわ。――アーチみたいなものがついていますよ」
と云った。
「じゃいよいよ来ました。ついそこです。こっちだったと思うが……」
 うろ覚えの街角の一つを、さぐるように先立ってまがった。ガラスから灯のもれているところを見つけて、つれは、番地と姓名を云ってたずねた。
「ああ、そうでしたか。すんませんでした――こっちです」
 さらに露路に入った。関西風な表格子のはまった人家が左右に建てこんでいる。急にバシャバシャと水がひろ子の女学生靴へ入った。その露路一帯、くるぶしほどの深さに浸水していた。水かさが一歩ごとにますようでこの先へ行くのは不安になったとき、つれの男は、一つの狭い入口の前で止った。
「多分ここでしょう……村川みきと書いてありませんか?」
「――標札ある
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