分らないということは、一つだってなかったことよ。こんどだって、立派に、壁までもうつけはじめたじゃないの」
「つや子は、わたしのすることが気に入らんと、きつうおこりよって。おばあちゃんのように、人ばかり頼んでも、たべさせる御飯だけでもせんないいうてじゃが、男たのまいで、どう、なろうかいの。女ばかりで……」
 つや子は、そろそろとうちのものばかりで片づけて行こう、というのだった。入費もかからないように、と。しかし、実際にそれは不可能であった。つや子は、落ちた上瞼を蒼ませ、一つも笑わず、頬をひきつらせて、しげの[#「しげの」に傍点]や縫子に指図をして働き、母の意見をうけ入れなかった。子供たちが、不潔なぬれたべた土の往還や土間に、裸足で腹をむき出して遊んでいる。それを見かねて、せめて下駄をはかせて、と云っても、とり合わなかった。自分が裸足であった。直次に死なれた悲しみに重ねて起った災難を体のよわいつや子が、細い自分の二つの肩だけで担わなければならぬように思っている。つや子が良人のいない一家の主婦として自分の権威と責任とを感じれば感じるほど、母の登代が積極的な気質なのとは反対の気立てがつよくあら
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