速さであった。母のきっぱりしたやりかたでこれらは進捗している。登代は、治郎をおぶって、重吉たちの子守をしてくれた婆さんの孫のところへ、守りをたのみに自分で行った。
 ひろ子は、二階で、愈々どっさりになって来た布類、衣類の干ものをしつづけた。しげの[#「しげの」に傍点]のつましい親たちが、何年か前にこしらえてやった派手すぎる銘仙の晴着や、結婚前の縫子の四季のよそゆき。紅絹《もみ》がにじみ、染色の流れた若い女ものは、拡げて一枚干すごとにひろ子に哀れを感じさせた。直次とつや子、子供らのものはほとんど一枚も濡れなかった。
 ひろ子が買って送った母の細かいお召の羽織がちぢみあがって黒く臭くなっている。それを軒下にほしていると、一段、一段、大儀そうな跫音をたてて母が二階へ上って来た。立ったままぐるりと、障子がはずされている両側の窓々と、その前にひろがる屋根の上とを眺めた。
「まあまあ、ようこんだけボロがあったもんじゃ」
 煙草を吸わない老年の母は、こういうときひろ子同様、いくらか手持無沙汰らしく、そこにただ坐って見まわしていたが、やがて、
「ひろ子はんも、遠方来たのにえらい目見せて、ほん気の毒であ
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