レグホンが、硬直した黄色い脚をつき出してころがされている。
三角地にあった朝鮮人の農家はほとんど家の土台まで土地が崩壊した。そこを流れる川の水量はもう減っているが、杙《くい》のようなもの、コモ、あらゆる雑物でせかれている。四五人の年とった男たちが、それのとりのけ作業をやっていた。
雨の深夜の空明りで二階から見おろした黒い水は、あんなに滔々《とうとう》と沢田の軒下を走っていた。かりものの駒下駄でひろ子が歩いてゆく今朝の街道は、あの水の下から地べたがあらわれて、部落じゅうのありとあらゆる臓物が、それぞれ家の表、裏、屋根の上まで拡げられていた。太陽に照らされて部落じゅうに不潔な水蒸気が立ちこめ、穢物のとけこんだべた土の臭気が昇っている。ゆうべのあの水嵩と、けさのこの往来と、ひろ子は、不自然に低いところを歩いているような奇妙な錯覚におそわれながら、一歩ごとに見なれない障碍物がころげ出て、見なれながらふだんと全く景色のちがう往還を通って来た。
石田の店の先に、大きな角材がひっかかって道をふさいでいた。そこへ空のドラム罐、どこからか流されて来た古床几、箱、砕けた茶ダンス、木の枝をはじめ、あら
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