森閑として、長雨に洗い出されたかたい小石がちのひろい路が、清潔に寂しく通っている。
第一建物の店で、トラックの心配が出来るというのも、明石の手前が通れないというのなら現実性のないことである。結局、十一時に姫路を出て加古川までゆく汽車にのることとなった。
加古川から明石まで歩くとすれば七里あった。
「どうです、奥さんに七里歩けますか」
「七里はとても駄目ですね。――けれどもね、あなたは大阪までだから、明石まで七里、元気を出して一日にお歩けなさるでしょう。先へ行って下すって本当に結構です。おかげさまでどんなにかたすかったのですもの」
列車がひどくおくれているのに気をもみ、しきりに線路の前方をのぞきながら、善良な支店長は、更に一層明石までの道のりが、ひろ子に歩けそうもないことを苦にした。
「折角、愉快に道づれになってもろうて、途中で妙なことせたら、寝ざめ悪うてかないませんよ」
「そういう風にお思いにならないでいいのよ。折角気もちよく道づれになったんだから、これから先は私の足相応に、あなたはあなたの足の力で、お帰りになっていいんですよ。全くそうよ。愉快な道づれが、しまいにお互の荷厄介になるのは、こういうとき、つまらない遠慮でやりかたを間違えるからですよ」
加古川の駅でみんな汽車からおろされた。不安な顔つきを揃えて改札口を流れ出た旅客の群は駅前の広場にトラックが二台待機しているのを見て、歓声をあげた。
「まあ、よかったこと!」
ひろ子も、しんからうれしかった。明石まで一人で歩くということは、云うよりもはるかに辛いことなのであった。
二台ともマル通のトラックで、加古川の青年たちが、旅客整理に出ていた。三列で十人。三十人一組一台のトラックに割当てて、二円ずつの料金をあつめた。秩序のあるそのやりかたも、皆を満足させた。
「のこった方は、すぐひきかえしでお送りします」
ひろ子らは、二台目のトラックにのった。加古川の駅前は、船が通るほどの浸水だったと姫路にはつたわっている。それほど水の出た気配もない古い宿場町をぬけて、トラックは左右に明るく展望のある一本の国道へ出た。これで、明石まで行けるのかと、料金のやすさを怪訝《けげん》に思い浮べているとき、トラックは、急に速力をおとして、畑の横に停った。
「どなたも、このトラックはここまでです。先はまた別に連絡があります」
「なー
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