で歯の高さから二三寸も高くはさまった雪の始末に、あぐねて仕舞った。足を宙に振って見ても、只、下駄が飛んで行きそうになるだけで雪は一向に落ちない。雪を落す事は断念してその至極歩きにくいコロコロする下駄で、そのまま歩く事を工夫した。つまさきをすっかり雪の中へ落して、爪皮一枚を透して雪の骨にしみる様な冷たさを感じながら荷やっかいな下駄を引きずって歩き出した。
 ころぶまいとする努力のために私は一心に地上を見て体中の神経を足の先に集めて居るとフイに耳元で、
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「やや子(赤坊)の様な事してなさるて事よ。
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と云う声に驚いて見ると、甚五郎爺が大きな雪かきを肩にかついで、長靴を履いた上にわらぐつを履いて「もんぺ」をだぶだぶにつけて立って居る。見ると、家の持地の入口の道から門まで一直線の路をつけて、踏み先へ先へと、雪かきを押して来たものと見え、今自分が立って居る処までほか地面は現われて居ない。父がまだ若い時から居た爺なので、私の事をまるで、孫でも見る様な気で居る。顔中、「たて」の大波をよせて歯ぐきを出して、私の様子を見て居る。
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「東
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