徒として困ったことがあるときは、陰で不平を云ったり、詰らながったりしていなくてはならなかったのは、もとのことです。今日の生徒は、学校というものを、本当に自分たちが成長してゆくための場所として真面目に考えなければなりません。学課のきめかたも、先頃は、英語などはいけないとやめさせられましたが、世界の日本として生活してゆくのに、女性がカン詰の広告一つよめなくて、おどおどしていてよいのでしょうか。少女たちは、女学生として、自分たちの勉強のしかたを研究し、研究するための委員を組の中から選んで、先生とざっくばらんに相談し、希望もうちあけてよいのではないでしょうか。そのようにして決めた組内の申し合わせは、自分たちできめたことですから、勝手にこわしてしまうようなことをせず、皆が其にきちんと従って、不便なところは改善してゆくという風にやるべきではないでしょうか。自由というものは、こういうものです。
 級長なども、これ迄は、どんな工合に選んでいたのでしょうか。先生が指名しましたか。其とも級として自由に選んだでしょうか。級として自由に選ぶことが出来たのなら、自分たちの選んだ級長にあき足りない点があるとき、そ
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