うことを実行する方法を思いめぐらし、そして其を実現させてゆく、その態度こそ自由というものの本体であると思います。
 例えば、食糧の問題にしろ、若い純な少女として、只大人が今している通りを真似て、しかも大人より却って「心臓がつよい」という風になって行くしかないものでしょうか。
 どんな家でも、親たちは子供が心から嫌がることについて、平気ではありません。何しろ、うちでは娘がいやがって、ききませんもので、とお母さんが、何事かしようとしてやめる場合は沢山ありました。もし、今の闇で命をつないでいるような暮しを、日本じゅうの少女たちが、悲しがり、立腹し、ちゃんとした解決を求めて物を云いはじめたら、其は、すべての人々を一層本気に考えさせ、工夫させ、よいと思う方法を試みる勇気を起させることだろうと思います。
 沢山の学校が戦災を蒙りました。そのために校舎が無くなったところもあります。大変不自由な一時凌ぎの場所で、この寒い冬を迎えて勉強してゆかなければならない人も、どっさり在りましょう。学校どころか、家が戦災で失われた方々も少くないでしょう。
 学校の問題については、先生と父兄とにだけ万事をまかせて、生
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