りした少女達は、食べる問題は決して親や、兄姉にまかしてだけは置きません。折あるごとに自分も探して手に入れなければならないという必死な心持を持っています。しかしその娘さん達は自分の働いたお金で食物を得て行ける年齢ではないし、また食物そのものの値段が、今日ではもう法外なものになっているから、お父さん達が正当な働きで得て来るお金では十分食べて行くことの出来ないような時になっています。よいと云っても、わるいと云っても生きて行くには万事闇で行かなければなりません。此の事情のために若い少女達まで、いつの間にか闇は当り前。要領をうまくして、少しでもどっさり手に入れる方が得だというような考に、いつしか馴らされてしまっているのではないでしょうか。
女の人は今まで社会的に大変|下手《したて》に出るよう馴らされて来ていますから、お金は足りない。が、どうかして物を買わなければならないというときに、自《おのずか》ら若い女性達は、自分が若い娘であるという一つの有利な条件を、自分で知ってか知らずかそれを愛嬌として使って、何となしに物をせしめるというような結果にもなるわけです。また大人が経済的に非常に苦しい、月給で
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