らないみたいでしょう? ああやって行くところを見れば、ただの漁師船に違いないけれど」
「ふむ。私も始めてです――幽霊船の話も嘘だとばかりは云えませんね。あれも紅い帆ですな」
 その云い方がおかしいと云う風に藍子がくすりと笑った。
 松林をぬけて、彼等は清遊館の方へ歩き出した。



底本:「宮本百合子全集 第三巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
親本:「宮本百合子全集 第三巻」河出書房
   1952(昭和27)年2月発行
初出:「文芸春秋」
   1927(昭和2)年10月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2002年9月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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