て来る気持を持って居る小田原の名の海は、江の島附近の、のどかで快いとは云いながら軽々しい様子とまるで違う。
 それで又、北国の名の海を見たら又小田原の海は軽々しい様子に見えるだろう。
 何にしろ江の島附近では、この海の様子が丁度よく、小田原には、あれで丁度いい様に、四辺の景色とつり合って海も変化する――と云うよりは、海の様子によって、四辺の景色が変化するものであると見える。



底本:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年12月25日初版
   1986(昭和61)年3月20日第5刷
初出:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年12月25日初版
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2009年1月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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