力な者のように錯覚させている〔十八字伏字〕。
 私は余りいい心持がせずに襟巻を顎の下にひきつけ、そこにかけているのであった。もう一ヵ月以上も〔二十九字伏字〕。そのことを、今日になってやっと知ったのである。
 主人は、〔九字伏字〕ならないもんですからと、口のまわりの大きい皺をうごかして云うであろう。それはそうであるが、〔三十九字伏字〕知らしてやるものは無かった。そんな些細な日常身のまわりのことにまで、〔二十一字伏字〕困難は横わっているのである。
[#地付き]〔一九三五年三月〕



底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
   1953(昭和28)年1月発行
初出:「文芸」
   1935(昭和10)年3月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
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