−2−22]一パサパサでしたら悪いと気がかりですが、あけては僅の興も失われてしまいますし、こうしてみるとまるで押し花をお送り申すようですね。心ゆるせというばかり。
 もうすこし涼しくなり疲れも直りましたら又音楽会でおめにかかれるとたのしみに存じます。十月の定期は短い時間でも聴けるだろうと思って居ります。
 何卒よろしくおつたえ下さいませ
    八日[#地から2字上げ]百合子
  高根包子様

 一九四七年五月二十七日[#「一九四七年五月二十七日」は太字](消印)〔岡山市内山下四番地 岡山県第一岡山中学校政経部宛 駒込林町より(往復はがき返信)〕

[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
一、民主的な社会生活の方法を身につける、ということが最も重大な理想であり、現実であると思います。自立的科学的な社会人として、社会のすべての事がらに判断をもち、よい社会を作るために献身する美を知ること。
二、過去の軍国主義的な教育の間違った影響からぬけ切っていないところが少くないことを知って下さい。
[#ここで字下げ終わり]

 一九五〇年[#「一九五〇年」は太字](推定)〔渡辺泰輔宛(封筒欠)〕
前へ 次へ
全18ページ中16ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング