こで字下げ終わり]

 四月二十六日(日曜)晴
 植物園へ行く。
 沢山の美術家の卵に会う。
 木の色と草が私に忘れ難い印象をあたえた。
 黄金色の落葉の群の小路、若草の広野。私は都をはなれた気持がした。
 鉄窓の中で人間の恋を真似てる猿を大きな万物の霊長と自任して居る人間達が愚かしい笑を持って見て居た。

 四月二十七日(月曜)曇
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〔摘要〕学校欠席
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「千世子」の第二まで書く。

 四月二十八日(火曜)
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〔摘要〕出席
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 お敬ちゃんが来る。
 体のせいで頭が重い。何もしないでけしの絵なんかを書く。あしたっから一日一緒に居ましょうなどと云ったけれ共行われない事だと云う事を私は知って居る。
『文章世界』が来る。

 四月二十九日(水曜)晴
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〔摘要〕出席
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 日誌当番。
 訳物のつづきをしなければならない。今二つに心がわかれて居る。どっちかにまとめなければならない。
『日本外史
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