あるよろこびと微笑とをもって居る幸福だ! 私は自分の心のそこでささやく。
一月二日(金曜)晴 寒
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〔摘要〕古橋氏、芝祖母君[#西村千賀子、母方の祖母]、来訪
「リヤ王」、「埋もれた青春」、「伯爵令嬢」
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らちもない只嬉しい気持で一日を送った。「リヤ王」を読む。「リヤ王」やその忠臣孝子の間には日本式な孔子の教のつたわってでも居そうな純な感じの好い感情がみなぎって居る日本の史劇の様な――こんな事も思われる。
「埋もれた青春」、その一つ一つに特別な感じと思いをうける、私にはそんなにはなされないほどのものではないけれ共一番始めにある埋れた春の幼い二人の子供の気持には落椿のはかなさといぬはりこの色の様に平凡なものでありながらはなれがたいなつかしみをうけた。「伯爵令嬢」まだ世の中をそんなに知らない私に四方を見廻させる力をもって居る。
一月三日(土曜)晴 暖、風
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〔摘要〕小田切、松岡、徳岡文蔵、久米正雄、古橋氏来訪
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久方振りに来た人達は
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