が一定の宗教に入るのも、この感激を得るためではないのだろうか? 彼は、彼にとって絶対な感激の本源を認めて安心出来たのである。
十三
浩はこのごろになって、しきりに庸之助と自分との関係を考えるような心持になっていた。それはもちろん、あの晩ああいうことがあったのが原因になってはいるが、父親を見たり、姉を見たりして、各自の生活の型ということを感じて来たのにもよるのである。
浩は普通にいわれる親友というのは、大嫌いである。互に知っていたところで、何にもならないことまで打ち明け合う。遠慮なく打ちあけ合うということは大切な、ほんとに行けば嬉しいことではあるがそれが、義務のようになってくると、浩には堪らない。そして、相談し、進み合って行くのならまだ好いけれども、あの男のことに就いて、自分は他の誰よりも委しい事情を知っているということが、たとい漠然としていても感じられて来ると、悪い。親友というものは、かくあるべきものと、定義を下されて、教育されて来たのだから、とかくその定義として挙げられてある条件を欠くまいとする。互に親友がっているのは大嫌いであった。それ故、庸之助に対して、一
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