二つの短い話
宮本百合子訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)確《しっ》かり
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十|片《ペニー》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「鼾のへん+嗅のつくり」、第4水準2−94−73]
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笛吹きとプカ
昔、ガルウェーのダンモーアと云う処に一人の半馬鹿がいました。彼はひどく音楽が好きでしたが、たった一つの節しか覚えることが出来ませんでした。その一つの節は「黒坊のいたずら小僧」と云うのでした。
村の人達は彼をからかって遊ぶのが好きでしたから、半馬鹿はよく皆から沢山のお金を貰いました。或る晩、この半馬鹿の笛吹きは舞踏のあった家から自分の家に帰ろうとしていました。彼は少し酒に酔っていました。そしてお母さんの家へ来る道の小さな橋の処まで来かかると、彼は笛をしめして「黒坊のいたずら小僧」を吹き始めました。すると、プカという魔物が彼の後に来ていきなり彼を自分の背中に背負い上げて仕舞いまし
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