子の上で背中をのばすようにした。
「実は、いまもちょっと、迷っていることがあるんです」
 雑誌社を経営しながら、その人は代議士に立候補する気があったり、伸子などのしらない政治的な活躍の場面ももっていた。
「木下さんは、気が多いんだもの。問題は多いでしょう。なれているくせに」
「――それがね、こんどのはちょっと大きいんでね」
 木下は、柔軟さとがんこさとのいれまじった蒼い角顔をすこしうつむけるようにして、黒い、憂鬱なところのある眼を上眼にした。
 どっちみち、本気な話にはならないその問題というのにたいして、伸子はふっと面白いことを思いついた。伸子は改ってきき直した。
「木下さん、本当に、それは重大な問題なの?」
「――私としては重大ですね。少しおおげさにいえば一生の浮沈にもかかわりますね」
「じゃあ、いい智慧をかしてあげましょう」
 伸子は立って行って、地袋の写真帖の上から一冊の薄い冊子をもって来た。その表紙には、黄色い地に一平の漫画が色ずりになっていた。
「何です?」
 木下は、それを手にとった。
「運命判断……へえ。こんなものが、ここにあるとは思わなかった」
「それは特別なの、実にあ
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