びて光る太い膝をゆすっている。家族のみんなから愛され、真面目なことで一目おかれながら、実はあんなに孤立している保。佐々はバカだ、生れつきの調停派だと、同級生にいわれている保。――
 伸子は、ふっくりした手の甲を頬っぺたにおしあてて、うらがえしの頬杖をついたまま思い沈んだ。
「どうしたのさ」
「…………」
「何がまだあるのさ」
「――保のことが気にかかって来たの」
「……だって――それなら、ゆくのをやめられるかい?」
「もうやめられない」
 伸子は答えた。
「――だから気になる」
 素子は現実的な判断のよりどころを与えるように、
「あのひとは、君をたよっちゃいないよ」
 早口にはっきり言った。
「そうなの。あのひとはたよるものなんかもつのは間違っていると決心しているのよ。そして、わたしは自分があのひとのたよりにならないことも知っているわ。だから気になる」
 姉が外国へゆくときめたことを知れば、保は、おそらく自分のこころもちは何にもあらわさず、それに賛成し、必要なことを手伝ってくれるにきまっていた。でも、保のこころのうちは、果してそれだけだろうか。うれわしげに頬杖をついている伸子の顔を眺め
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