そ生活出来なかったし、結婚ということをまたくりかえしたいことと思えなかったが、それは多計代のいうように「男なんて」と結論されるわけのことではなかった。よしんば男そのものが伸子にとって自然な牽引をもっていたとしても、女がその妻となったときに生じて来た家庭と、その中での男女の関係が、伸子にとって自然になじめないものなのだった。男なんて、といいながら、妻であり母であることに新しく落ちついたような多計代の姿は、そこから飛び立とう、飛び立とうとしているようだった時とはまた別な居心地わるさを伸子に感じさせるのであった。
多計代は、うこん木綿の大風呂敷に、もう使えなくなったシャツ類をまとめて、しばっている。そうして整理された古着、古布類は、佐々の田舎の昔なじみの農家であるおかめ[#「おかめ」に傍点]ばあさまのところに送られた。おかめばあさまは、それをつくろって子や孫にきせ、その役に立たない分はこまかく裂いて機にかけた。風呂場の足ふきや、畳廊下のしきものになる厚いくず織が、二年に一度ぐらい佐々の家へ送られて来た。
伸子は、いまにもなんとかいいたそうに、ちらり、ちらりと指環のきらめく手でぼろをわけて
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