といった。
「保さんの、さっきの、どの議論もそれとしては理窟をもっているっていうのと、いまの絶対にいい方法でなければいけないっていうのと、ちょっとみると反対みたいだけれど、同じなのね、保さんの考えかたって――わからない」
ものごとを考えるというと、具体的にそこにある問題からはなれてなんでも抽象してしまう保の方法をそれが執拗であるだけに伸子は不安に感じた。
「保さん、そういう話、越智さんとしたことがあるの?」
「すこしある」
「なんてってた?」
「――僕の考えかたは、純粋だっていっていた」
「…………」
純粋! 何ていいかげんのにげことばだろう! 伸子は越智に対して、いつも湧く忿懣《ふんまん》を新たに感じた。越智は、青年たちが自分たちの生の問題としてそういう議論にも熱中するその真情がつかめるような人物ではない。現代の青年はそういう議論をする、ということだけを問題にする能力しか持っていやしない。伸子はくやしそうに、
「越智さんなんかいいかげんに卒業してしまわなくちゃ駄目じゃないの、保さん」
といった。伸子は自分の生活態度を、破壊のための破壊をこのむものだといって、多計代に一つの偏見を
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