わ、出来たら見せて」
「ええ。是非みて貰う」
 保のために、おやつを探して来て、客間に戻った伸子は、何となしさっきまでとは違った空気がそこに出来ているのに心づいた。制服をカラーなしで着ている松浦と低い白カラーをつけている保とは、指人形の話をしていた。保は来年学校の記念祭のとき、人間の指人形で芝居を出そうと思っているらしかった。文丙に入学した第一年の記念祭のとき、どういう題だったのか、保は坊主になって、フランス語の動詞の変化をお経代りにして大好評だった。兄よりも松浦よりもよこたてに大きいからだのすこし窮屈になったズボンの膝を行儀よく椅子にかけて、保はそんな話をしている。
「ジュスイ ザーレ、テュエ ザーレってやったの?」
 つや子が宿題で動詞の変化を諳誦するとき、小さい女の子らしく甲高い声をはりあげる、その口真似をして伸子はふざけた。
「小枝ちゃんの方は? ジュスイ ザーレはやらないでいいの?」
「随意科なの」
 きちんと学校へ出た保が帰って来てからは、若い三人の話題もちがって来た。
 保は、ごくたまにしかピアノを弾かなかったし、歌は全然うたわなかった。
「外で、キャッチボールでもしたら
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