ます。孔子と儒教は、中国の女を不幸にし、若いものを老人の圧迫の下においている。恐らく日本でもそうでしょう。先生の御意見には反対です。そういう意味がつたえられた。そういう言葉は伸子に同感されるものだった。
「シェンション!」
という呼び声が、いろいろの若い女の声でほとばしるようにおこったときから、早川閑次郎は顎骨の張った面長な顔に、優越的な微笑をただよわせながらみんなを眺めていた。女学生の反駁をつたえられると、その表情は一層濃くなって、その顔つきはほとんど面白がっているようになった。早川閑次郎は、ふたたびゆっくり立ち上って話しはじめた。
「あなたがたが、お国の人の幸福のために熱心に努力なさるのは何よりです。私は十分皆さんの誠意に敬意を払います。しかし、文明といい、人智の啓発ということは、ものごとを複雑に理解する能力です。私は、あなたがたが、誠意の上に加えて、諷刺を理解する力をもたれることを希望します」
 それは、また小柄な黒服の人によって通訳された。論争の中心点をそらした返答をうけて、女学生たちはしばらく沈黙した。やがて灰色っぽい綾織の服をきた、すこし年かさらしい一人の女学生が立って、努
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