しいです」
 その声に真実がこもっていた。ドーリヤはモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]での生活の基礎を、すこしの英語、すこしの中国語、日本語などの語学においているのであった。
「わたくし、日本語話すとき、考えません。ただ、出来るだけ、迅く迅く、途切れないように」
と最後の途切れないようにという一字だけロシア語をはさんで、
「つづけて話します。きいている人、思いましょう? あんなになめらかに話す。彼女は必ずよく知っているだろうと。これ、かしこいでしょう?」
 ドーリヤの若い娘らしい率直さが、みんなを大いに笑わせた。秋山宇一は、何遍も合点合点しながら、手をもみ合わせた。
「わたしたち日本人には、こういうところが足りなさすぎるんですね。大胆さが足りないんです。いつも間違いばかりおそれていますからね」
 だまっていたが、伸子は、この時ドーリヤとさっき廊下で話して来たシューラとの比較におどろかされていた。はしゃいで、チャールストンの真似をしているときでも、しんから気をゆるした眼つきをしていないドーリヤと、清潔なぼろと云えるようなジャケツをきたやせたシューラの落着きとは、何というちがいだ
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