ぴらぴらした、日本の氷屋のコップのようなかさの電燈がついている。その下の明るい場所へ椅子をもち出して、ホテル女中のシューラが、白金巾《しろかなきん》に糸抜細工《ドローンワーク》をやっていた。室を出た伸子は、そばへ行って、手摺にもたれた。シューラは、手を動かしつづけながら、
「御用ですか」
ときいた。
「いいえ。何でもないの」
 今夜も伸子は白いブラウスの上に日本の紫羽織をひっかけていた。
「ここは寒くないの」
「暖くはありませんよ――」
 毛がすりきれて、編みめののびた古い海老茶色のジャケツを着て、薄色の髪をかたく頸ねっこに丸めているシューラはやせていた。小さな金の輪の耳飾りをつけているシューラの耳のうしろは骨だってやつれが目立った。伸子は、自分につかえるわずかの言葉で話すために骨を折りながら、
「シューラ、あなた、丈夫?」
ときいた。
 シューラは、糸抜細工《ドローンワーク》から目をあげないままで、
「わたしは肺がわるいです」
と云った。
「肺、わかります? ここ――」
 そう云いながら、ボタンの一つとれたジャケツの胸をさして伸子を見あげた。シューラの顔に、遠目でわからなかった若さが
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