、としているってことはわからないし、必要なことだとも考えられないんですね、役者[#「役者」に傍点]の生活の範囲ではうるさいつき合も、義理もきちんきちんと手おちなくやってくれて、全く後顧の憂いがないわけなんですが。これまでの役者の生活なんて、そんなことが第一義だったんですからね、無理もないが……。細君に一つもつみはないんです。けれども、わたしにはマネージャと妻はべつのものであるべきだと思えて来ているんです」
 つやのいい元気な吉之助の顔の上に、沈んだ表情が浮んだ。
「あなたがた、どうお思いです? あんまり我儘《わがまま》でしょうか」
 伸子も素子も、吉之助の気持がぴったりわかるだけに、すぐ返事をしかねた。
「――わたしは妻を求めているんですね。演劇そのものの話し合える……」
 するとわきできいている伸子をびっくりさせるような鋭さで、素子が、
「かりにそういうひとが細君になったって、やっぱりマネージャ的必要は起って来るんじゃありませんか」
と云った。
「ほんとに、わけられるもんなのかな――あなたに、わけられますか?」
「わけられないことはないと思いますね。ほんとに芝居のことがわかっているひ
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