チた。ガーリンは『検察官』のフレスタコフを演じたりしてメイエルホリドの若手の中で近頃著しく評判になっている俳優だし、一方に吉之助がいることだし。
 そんなこころもちのいきさつを知らない吉之助は、当惑したように慇懃《いんぎん》な調子で、
「すみませんが、じゃあお二人でいっしょに会って下さいませんか、おかまいなかったら、ここを拝借して」
と云った。
「それがいい。ここで、みんなで会いましょうよ。そして、わたしが主に通訳するわ」
 伸子が、あっさりひきうけて云った。
「そのかわり、わたしは、みんな普通の云いかたでしか云えなくてよ。だから吉之助さんはかん[#「かん」に傍点]を働かして、ね」
「それで結構ですとも。ガーリンさんは型のきまり[#「きまり」に傍点]のことが知りたいらしいんです」
「それ見なさい」
 素子が伸子の軽はずみをからかうように睨《にら》んでおどかした。
「きまり[#「きまり」に傍点]なんか、ぶこちゃんの軽業だって、説明できるもんか」
「そうでもないでしょう」
 とりなすためばかりでない専門家の云いかたで吉之助が説明した。
「わたしに、どういう場合ってことさえわからせてもらえば
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