註文され、秋山と内海が集って来た。
「――どうでした」
伸子や素子の感動している顔を見まわしながら満足そうに秋山が中指にインクのしみのついた小さい両手をすり合わせた。
「|М《ム》・|Х《ハ》・|Т《ト》だけのことはあると思われたでしょう」
伸子と並んで余りかけ心地のよくない堅いバネなしの長椅子にかけ、タバコばかりふかしている素子に、瀬川がきいた。
「吉見さん、感想はどうです」
「ふーむ」
素子は、美しい顔色をして、自分に腹を立てているように、ぶっきら棒に云った。
「わたしは、大体、ここでは、いきなり何にでも感服しないことにしたんです」
「なるほどね――ところで、今夜の|М《ム》・|Х《ハ》・|Т《ト》はどうです――やっぱり感心しないことにしておきますか」
「それが困るのさ!」
素子は、同じようにむかっ腹を立てているような口調で云った。
「くやしいけれど、嘘はつけませんからね」
「じゃ、感服したんじゃないですか」
瀬川と秋山は、ひどく愉快そうに笑った。内海は、そういう素子の感情表現に不賛成らしく、十九世紀のロシア大学生のような頭を、だまって振った。
「もしかしたら芝居だけが面
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