ェありましたし、いまでも、その伝統があってバレーでは明らかにモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]をリードしていると思います」
「――失礼ですが、わたしたち、お茶がまだなのよ」
 伸子が言葉をはさんだ。
「御免蒙って、はじめてもいいかしら」
「どうぞ。――すっかりお邪魔してしまって……」
「その外套おとりになったら?」
 明らかに焦だって伸子が注意した。
「あなたに見物させて、お茶をのむわけにもいかないわ……」
 そのひとにもコップをわたして、バタをつけたパンとリンゴで茶をのみはじめた。そうしているうちに、伸子の気分がいくらかしずまって来た。不意にあらわれた宮野という人物に対して、自分は礼儀の上からも実際の上からも適切にふるまっていないことに気づいた。話がおかしいならおかしいでもっと宮野というひとについて具体的に知っておくことこそ、必要だ。伸子はそう気づいた。
「いま第一国立オペラ・舞踊劇場で『赤い罌粟《けし》』をやってますよ」
 ちゃんと着かえる機会を失った素子が部屋着のまま、茶をのみながら話していた。
「あんなのは、どうなんです? 正統的なバレーとは云えないんですか」
「レー
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