ネるほどね。それにしたって宮野なんて――知ってるかい?」
「知らないわ」
「だれなんだろう」
ともかく、廊下で待っていて貰うようにニューラにたのんで、伸子たちは、浴室へ行った。
顔を洗って室へ戻ろうとすると、ほんのすこし先に行った素子が、
「おや! もう来ていらしたんですか!」
と云っている声がした。それに対して低い声で何か答えている男の声がきこえる。伸子は、その声にきき耳を立てた。ニューラが間ちがえて通してしまったんだろうか。女ばかりの室へ、いないうちに入っているなんて――。伸子は浴室から出られなくなってしまった。例のとおり紫の日本羽織はきているものの、その下はスリップだけだった。
浴室のドアをあけて、伸子は素子をよんだ。そして、もって来て貰ったブラウスとスカートをつけ、又、その上から羽織をはおって、室へ戻ってみると、ドアの横のベッドの裾のところの椅子に、一人の男がかけている。入ってゆく伸子をみて、そのひとは椅子から立った。一種ひかえめな物ごしで、
「突然あがりまして。宮野です」
と云った。
「レーニングラードでバレーの研究をして居られるんだって」
「着いて停車場から真直《まっ
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