sイノストランキ》などとかいたら、また経済能力を買いかぶられて、借りられもしないような条件で部屋主が手紙をよこしそうな気がした。伸子は、
「これでいいかしら……」
と、紙きれを見おろしながらためらった。
「外国女《イノストランキ》なんていうと、何だか毛皮外套《ファー・コート》でもきていそうじゃない?」
素子は、だまって二吸い三吸いタバコをふかしながら、自分の書いた文面を眺めていたが、
「いいさ、いいさ」
わきに立っている伸子の手に、草稿の紙きれを押しつけた。
「われわれは外国女《イノストランキ》にちがいないんだもの。――外套だって憚《はばか》りながら毛皮つきですよ、内側についてるのと外側についてるのとがちがうだけじゃないか」
伸子はホテルを出かけた。ホテルの玄関と雪のつもった往来をへだてて向いあっている中央郵便局の建築場の前に、大きなトラックが来て、鉄材の荷おろしをやっていた。防寒用外套の裾を深い雪の面とすれすれに歩哨の赤軍兵が鉄材の運びこまれるその仕事を見ている。膝まであるフェルトの防寒長靴《ワーレンキ》をはいて、裏から羊毛がもじゃもじゃよれたれ下っている短皮外套をきた五人の若
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