「内海さんがあなたにおつたえします」
 話がわかると、
「それでよし!」
とアレクサンドロフをかえりみて、
「これで、われわれが、『野蛮なロシアの熊』ではないという証明がされたよ。さあ、そのお祝に一杯!」
 みんなの杯にまた新しい一杯がなみなみとつがれた。そして、
「幸福なるノウの安らかな眠りのために!」
と乾杯した。伸子は、また、
「わたしはだめです」
をくりかえさなければならない羽目になった。ポリニャークは、
「やあ にぇ まぐう」
と、鳥が喉でもならすような響で、伸子の真似をした。そして、立てつづけに二杯ウォツカを口の中へなげ込んで、
「自分の国のものでもわれわれにはわからないものがあるのと、同じことさ」
 タバコの煙をはき出した。
「たとえば、ム・ハ・ト(モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]芸術座)でやっている『トルビーン家の日々』あれはもう三シーズンもつづけて上演している。どこがそんなに面白いのか? 僕にはわからない」
「ム・ハ・トの観客は、伝統をもっていて特にああいうものがすきなんだ」
 アレクサンドロフが穏和に説明した。
「そりゃ誰でもそう云っているよ。しかし、
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