jいを頂く、という保の気もちとなっているところが伸子に苦しかった。辛辣にならないまでも、保は保の年齢の青年らしく、家庭においての自分の立場、自分の受けている愛情について、つっこんで考えないのだろうか。あんなに問題をもっているはずの保が、和一郎と妹のつや子の間にはさまって、団欒《だんらん》という枠のうちに話題までおさめて書いている態度が、伸子にもどかしかった。どうして保は、もっと勝手にさばさばと、たよりをよこさないのだろう。そう思って考えてみると、伸子がモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]へ来てから保は二度たよりをよこしたが、二度ともみんなとの寄せ書きばかりだった。
 ――ふと、伸子は、あり得ないようなことを推測した。多計代は、もしかしたら保が伸子に手紙をかくことを何かのかたちで抑えているのではないだろうか。姉さんに手紙を出すなら、わたしに一度みせてからにおし。対手が保であれば、多計代のそういう命令が守られる可能もある。伸子が動坂の家へ遊びに行って、保と二人きりですこしゆっくり話しこんでさえ多計代は、その話の内容を保から話させずにいられないほど、自分の所謂《いわゆる》|情熱の子《
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